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メキシコペソとは?
What is peso mexicano?
メキシコ合衆国は、連邦共和制で北部はアメリカ合衆国と接し、南東はグアテマラと国境に接しています。 西は太平洋、東はメキシコ湾とカリブ海に面しておりこれが海上交通上の大きな利点となっています。首都はメキシコシティ。スペイン語が事実上の公用語でありスペイン語圏においては最も人口の多い国家。2020年現在、総人口は約1億3千万人となっています。スペインから独立した後も元の宗主国であるスペインとの関係は、文化や経済面を中心に非常に強い状態が続いています。
日本との関係は江戸時代の初めの1609年(慶長14年)、房総の御宿海岸でフィリピン総督の船が大嵐の為座礁難破した事がきっかけです。時の藩主本多忠朝がこれら一行を歓待し、徳川家康が用意した帆船でメキシコへ送還したことから、日本とメキシコとの親密な交流が始まりました。日本が開国して諸外国と通商条約を結んだ中で、1888年(明治21年)メキシコと締結した日墨修好通商条約は日本にとって事実上初めての平等条約でした。日本からの移住は他の南米の諸国と同様に盛んに行われ第二次世界大戦までに総計10,000人を超える移住者がメキシコに渡りその子孫が現在でも日系メキシコ人としてメキシコの各地で生活しています。
メキシコ経済
Mexican Economy
メキシコにとっては石油が大きな外貨獲得源でカリブ海沿岸地域を中心に多くの油田が点在しています。鉱物資源はそれ以外に銀・オパール・銅の採掘も盛んです。東西を海に囲まれているため漁業・水産業が盛んでそれ以外に観光業、ビールなどが主な外貨獲得源。また、20世紀前半より豊富で安価な若い労働力、更には米国と陸続きであるため米国向けは陸送出来るという特別な環境にあり、太平洋・大西洋に接しているため海上交通手段がアジア・オセアニア向け、欧州英国向けともに簡単に構築できるため工業化が進んでいます。特にFTA 網を有することを背景に海外企業の自動車製造工場などが建設されて外貨獲得に貢献しており家電製品生産なども盛んで主な貿易相手国はアメリカ、カナダ、日本、スペインとなっています。
2018 年の実質GDP 成長率は2.2%。米国トランプ政権と行われたNAFTA(北米自由貿易協定、1994年発効)再交渉では決裂危機が何度か発生し、その影響で通貨が下落しました。7 月には大統領選挙が実施され左派のロペス・オブラドール候補が勝利し、12月には新政権が発足。そうした中、中央銀行は先行的に利上げを行い、インフレの高進を防ぐことに成功しました。 政策金利は2018年初の7.25%から2018年末には対インフレ対策で8.25%まで引き上げらましたが、利上げが功を奏しインフレ率が低下したことで2019年8月には8.0%へ利下げ開始。その後9月、11月と0.25%ずつ連続利下げし2019年12月にも0.25%利下げしたことで政策金利は7.25%まで低下しました。
インフレ率(年率 前年比)は2017年の6.77%から2018年末には4.83%まで低下。更に2019年12月には2.83%まで確実に低下しました。
トランプ大統領は大統領選挙当時からNAFTAによって対メキシコ貿易赤字が増大し米国内の雇用が奪われたとして批判を重ね、NAFTAからの離脱にも言及していました。NAFTAの再交渉は2017年8月に開始され、米国政府が示した自動車の原産地規則における米国製品の使用義務の導入を始め、サンセット条項(一定期間ごとに協定の継続を判断)の導入など様々な提案をめぐってカナダ・メキシコとの意見が対立し交渉は難航。
2018年11月に中間選挙を控える米国側が、同じく同月に大統領の任期が終了するメキシコ側に個別に交渉を持ちかけ、8月27日に米国とメキシコの間で基本方針に関する暫定合意が成立。2018年11月に三カ国首脳による新協定USMCA署名に至りました。しかし2018年11月の米議会中間選挙で、民主党が下院多数党の座を奪還し、協定内容の見直しを要求したことから、改めて三カ国で協議が実施され、署名から1年余りを経た2019年12月に修正議定書でUSMCAは合意の運びとなりました。
NAFTAと比べUSMCAでは自動車・同部品の原産地規則の厳格化が適用されるため、NAFTAから大きな恩恵を受けてきたメキシコに厳しい内容を含んでおり、自動車・部品等の対米輸出拠点として他の立地と比較した場合の優位性が低下する可能性があると思われます。
2020年に入り2月に7.0%へ利下げし3月には世界での新型コロナウイルスの感染拡大で世界が利下げする中、3月には0.5%利下げ6.5%としました。更に、4月、5月と連続0.5%利下げに踏み切り現状は5.5%となっています。
実質GDPは、2019年は2018年の利上げの影響から大きく落ち込み、1Qは1.1%となんとかプラスを維持しましたが、2Q ‐1.2%、3Q ‐0.4%、4Q ‐0.7%となってリセッション入りし、通年は‐0.3%となりました。2020年1Q は新型コロナウイルスの影響もあって更に大きく落ち込み‐1.4%となっています。
メキシコペソ/円を小林芳彦氏が分析
Mr. Kobayashi's analysis of MXN/JPY
メキシコペソ相場は、メキシコの主要な輸出品目である原油価格が下落したことで、ペソ売り圧力が強まりさらに2016年5月以降には、米国の大統領選でトランプ候補が対メキシコ強硬論で選挙戦を戦いメキシコ国境に壁を建設する、不法移民は強制送還するなどの発言を繰り返したため、ペソ売り圧力が更に強まる結果となりました。2016年11月8日にトランプ候補が米大統領に当選したため、ペソは対米ドルで20ペソ台へ急落しました。2017年になってからも、米トランプ政権の対メキシコ通商・移民政策に関する強硬路線は変わらずであったため更にドル買いペソ売りとなって1月には1米ドル=22ペソ台に乗り史上最安値を更新しました。
メキシコ銀行(中央銀行)はペソ売り防衛のため機動的な利上げを実施し、新たな為替ヘッジプログラムを発表すると、ペソは持ち直しに転じました。さらに、「トランプリスク」の後退に伴い、ペソ相場は反転後の上昇基調を強めました。2017年8月半ばに開始された北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉をめぐり、 米国が保護主義的な通商政策を打ち出す可能性は否めず、交渉不成立の場合に離脱するリスクが依然残っていたことからペソは基本は上値が重たく揉み合いとなっていました。しかし2018年8月17日に米国とメキシコは北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の2国間協議で合意。瞬間的にペソ買い戻しとなりましたが、このペソ買い戻しの動きは長くは続かず2018年以降2020年3月上旬まで1米ドル=17.94~20.96ペソのレンジで推移していました。2020年3月の新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大により、米株式が大暴落となって世界的にリスク資産売りとなったことで1米ドル=25.77ペソ、対円で4.219円まで急激にペソ売りが進みました。しかし感染が次第に鎮静化し世界で徐々にロックダウン解除の動きが出てきていることから、リスクオフからリスクオンに切り変わってきており2020年5月26日現在安値から切り返して1米ドル=22.27ペソ、対円で4.825円となっています。
週足チャートを見ると2014年の高値8.710円から2016年の安値4.796円まで大きく下落していますが、この下落のフィボナッチ38.2%戻しで2017年の反発が2回止められ再び下落していることが判ります。2018年12月には再び5.150円まで下落した後、2020年2月には6.011まで戻りましたが、この上には38.2%戻しも強い抵抗があり戻り切れませんでした。翌3月には新型コロナウイルスで新興国通貨は軒並み下落。4月に安値4.219円まで下落後4.871円まで戻して現在は4.825円となっています。(2020年5月26日)
ただし、この上には5.150、抜けても5.400、6.000と非常に重たい上値抵抗線があり戻るのは容易ではありません。
メキシコ政府は、メキシコペソを支えるために経済ファンダメンタルズの改善に向けて、利上げや為替介入による対策を講じていくほか、不法移民対策をしっかりと行っていけば主要貿易相手国である米国との関係改善も模索していくと考えられます。トランプ大統領も一時のメキシコに対して圧力をかけるような言動はなくなり、対メキシコ関税5%発動を無期限延期すると表明しており、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」が2020年7月1日に発効する事となりました。これにはメキシコから見て、投資をつなぎとめるためNAFTAの枠組みが消滅するのを何としても避けたかったことから、USMCAで原産地規則の付加価値基準が62.5%から75%へ引き上げられるという、メキシコ側にとって大変厳しい原産地規則を受け入れた経緯があります。巨大な消費市場である米国に隣接するという地理的優位性や、若くて豊富な労働力人口を有しているといった点で、メキシコが持つ優位性を活かして経済の立て直しを行っていけば中国以外のビジネス拠点としても有望と言えるのではないでしょうか。
ロペス・オブラドール大統領の政策に対する内外投資家の懸念が強いのはメキシコの弱点です。就任前の2018 年10 月、投資額の大きさから無駄な歳出につながると主張し、メキシコ市新空港建設の是非について国民に問い建設中の新空港の工事を中止しました。大統領は新自由主義的(市場経済重視の)経済政策を否定、経済への国の関与拡大を主張していますが、増税しない一方で過度な歳出削減策を採用するため財源の問題が常に発生し、民間資本にその活路を見いだすものの、信用力とプロジェクトの魅力不足から、計画は進みませんでした。
2019年成長率鈍化の原因は、米国製造業の伸び率が鈍化しメキシコの製造業生産も低下を余儀なくされたことのほか、インフレ封じ込めのため政策金利を2018年12月に8.25%まで引き上げたことが挙げられます。更に2020年1Q は、世界経済が新型コロナウイルス感染拡大による下押し圧力が強く、2Q以降のメキシコ経済の大幅な落ち込みは避けられないと見られています。
メキシコペソのかかえるリスクについて
About the risk of peso mexicano
メキシコの治安の悪さは有名でマフィアなどの抗争もあるため犯罪が大きな問題となっています。 首都であるメキシコシティや、それ以外の地域においても失業者が増加し、社会的・経済的不安定要因が治安情勢の一層の悪化を招いており、犯罪が昼夜を問わず発生する点が大きな社会的リスクと言えます。
現在の大きな問題は新型コロナウイルスによる感染拡大が中南米で大きな問題となる中、主力産業である自動車生産に影響が強く見られること、原油価格下落により財政が大きく悪化すること、現政権の一貫性の無い政策により直接投資に投資家が二の足を踏んでいる状態であることなどです。
チャート的にはダウントレンドは鮮明なので、対円では次に下った4.000近辺を押し目買いしてもしっかりと5.000手前で利食いする等回転を効かせて利食いを行い、買い持ちをキープするだけではなく売買益を上げるトレードを行うことが重要だと考えています。
・為替市場は原則平日24時間取引が可能でありますが、メキシコペソはマイナー通貨のため、日中帯の時間以外は取引できない場合があります。
・取引時間外であってもレート配信がある場合は取引は可能ですが、急にスプレッドが広がったり、レート配信が停止し意図した取引ができなくなる場合がありますのでご注意ください。
・メキシコペソはマイナー通貨であることから、米ドルやユーロに比べ流動性が相当に低く、少しのレート変動でもスプレッドが大きく広がることがあります。また、政治的要因や金融情勢の変化、地政学的要因など様々な理由はありますが、少しの情勢の変化でも大きくレートが変動したり、レート配信が停止したり、スプレッドが広がったりした結果、意図した取引ができないことがあります。また、上記記載したような状態が発生した結果、ロスカットができない等の理由によりお預かりしている証拠金以上の損失が発生する場合もありますので、お取引いただく場合は十分ご注意ください。
※このレポート(2024年12月17日時点の情報)は情報提供を目的とし、投資の断定的判断を促すものではありません。取引における最終的な判断は、お客様自身で行うようにしてください。 この情報により生じる一切の損害について、当社は責任を負いません。本レポート中の意見等が今後修正・変更されても、当社はこれを通知する義務を負いません。著作権はヒロセ通商株式会社に帰属し、無断転載を禁じます。